プロデュースオペラ『死の都』が2025年音楽クリティック・クラブ賞 本賞を受賞
2025年3月1日・2日にに上演しましたプロデュースオペラコルンゴルト作曲『死の都』が、2025年音楽クリティック・クラブ賞 本賞を受賞しました。
ご来場いただいたお客様、演奏家のみなさま、そしてこの上演に際し関わっていただきましたみなさまに、心より感謝申し上げます。
また、2025年音楽クリティック・クラブ賞 奨励賞は、びわ湖ホール オペラへの招待 レハール作曲『メリー・ウィドウ』(2025年7月18日・19日・20日・21日上演)の演出により、唐谷裕子さんが受賞されました。
音楽クリティック・クラブ賞 本賞 贈賞理由
阪哲朗芸術監督が11年ぶりに取り上げたコルンゴルト《死の都》再演は、びわ湖ホールのプロデュースオペラの伝統を新たに更新する卓越した成果であった。びわ湖ホールのプロデュースオペラは、これまで同ホールの芸術的水準を牽引してきた重要な柱であるが、本公演はその歴史の中でも特に高い完成度を示したものである。演出面では、栗山昌良による初演の精神を受け継ぎつつ、岩田達宗が作品の構造と舞台美を精緻に再構築した。場面転換の処理や造形の統一感は、作品の心理的軸を視覚的に支えるものであり、初演時の意図を現代の視点から再照射する成果を示した。音楽面において、阪の指揮は、ヨーロッパで培った作品理解と経験が結実したものであり、京都市交響楽団からコルンゴルト特有の陰影と輝きを余すところなく引き出した。音響の厚みと透明さの両立は、この作品の本質を明確に浮かび上がらせ、舞台と音楽の統合を高い次元で実現した。歌手陣への指示も綿密であり、全体が一つの呼吸をもって進行した点は特筆される。歌手陣は総じて高水準であったが、マリー/マリエッタを演じた森谷真理は、役柄の二面性を鮮やかに体現し、作品の官能性と精神性をともに示した点で際立っていた。本公演は、びわ湖ホールのプロデュースオペラの到達点を更新し、阪哲朗が芸術監督として本領を発揮した公演として高く評価されるべき成果である。ここにクリティック・クラブ賞本賞を贈呈する。(中村孝義)
クリティック・クラブ賞 奨励賞 贈賞理由
滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールの「オペラへの招待」シリーズで新制作として上演された、レハール作曲《メリー・ウィドウ》の演出を担ったのが唐谷裕子であった。唐谷はこれまで、オペラの演出助手として関西を中心に数多くの上演に関わる一方、近年は演出家として手がける舞台も着実に増やしてきている。
今回の《メリー・ウィドウ》では、阪哲朗指揮の日本センチュリー交響楽団による軽妙な演奏に支えられながら、びわ湖ホール声楽アンサンブルの精鋭たちによる生き生きとした歌唱と演技を活かし、関西らしい笑いの要素も巧みに盛り込みつつ、舞台の隅々にまで人間愛に満ちたまなざしを行き渡らせた。その結果、作品本来の華やかさと親しみやすさを備えた、温かな舞台を生み出すことに成功した。
これは、唐谷がこれまでオペラの演出家、演出助手として積み重ねてきた研鑽の賜物である。その功績をたたえるとともに、今後ますますの活躍を祈念し、2025年音楽クリティック・クラブ賞奨励賞を贈る。(小味渕彦之)
びわ湖ホール芸術監督 阪哲朗コメント
年間数多くの演奏会がある中、びわ湖ホール制作の2つのプロダクションがクリティック・クラブ賞を受賞したことは大変嬉しいことです。学生時代からオペラやオペレッタが大好きだったからこそ、今回の評価は感慨深く、本当にありがたく思います。
唐谷裕子さんコメント
歴代素晴らしい方々が受賞されてきた、憧れの栄えあるクリティック・クラブ賞をいただき、本当に嬉しく思います。支えてくださった皆さまとのご縁に感謝し、これを糧に今まで以上に頑張ります。

2025年3月1日「死の都」カーテンコール

「メリー・ウィドウ」公演前に解説をする唐谷さん
