ピーピング・トム「トリプティック」

「ピーピング・トム」はガブリエラ・カリーソとフランク・シャルティエによって2000年に結成されたベルギーのダンス・カンパニーで、未知なるダンスの創造を目指してカンパニーを「覗き屋＝ピーピング・トム」と命名しました。ダンサー、俳優、オペラ歌手ら、ジャンルも国籍も世代も多様なアーティストたちが生みだす驚異のパフォーマンスは、伝説の舞台としてダンス史にその名を刻み「次代のピナ・バウシュ」と称され、独創的なスタイルから、全世界の熱狂的な支持を集めています。びわ湖ホールでは2016年度「ファーザー」上演以来、待望の再登場となります。

オランダを代表するダンスカンパニー「ネザーランド・ダンス・シアター（NDT）」の委嘱作として誕生した三部作「ミッシング・ドア」（2013年）、「ロスト・ルーム」（2015年）、「ヒドゥン・フロア」（2017年）を、ピーピング・トムのオリジナルキャストで再構築しました。各作品をつなぐ大掛かりな「舞台転換」もご覧いただける特別なステージとしてお届けします。
舞台は、客船。洋上の客室で、ひと癖もふた癖もある男女がおりなす不吉な一夜の物語です。過去へと追い詰められる男たちと、狂気に憑りつかれた女たち。絶望の淵で愛を求めてさまよう魂がたどり着く先は……。
現代社会が抱える闇へと果敢に切り込み、最も過酷な場面でさえ美しさとユーモア、愛に満ちた演出で描き出すピーピング・トムの集大成ともいうべき本作を、お楽しみください。

ピーピング・トムの舞台に出演して、キャラクターを「演じる」というより、その世界の中で実際に「生きている」と感じられる感覚がとても新鮮で、アーティストとして大きなインスピレーションを得る機会になりました。
日本で3作品すべてを客席から拝見できるのを、今からとても楽しみにしています。この特別な作品が、たくさんの方々に届きますように！
鳴海令那（ダンサー／NDT版『トリプティック』出演）