びわ湖ホール声楽アンサンブルメンバーのクロストーク

2023年度から新しくメンバーになった6人、
声楽を極めるきっかけや入団しての感想、これからのことを聞きました。

新メンバーの紹介

福西仁バストアップ写真

兵庫県宝塚市出身。三姉弟の末っ子。大阪音楽大学音楽専攻科修了。その後4年間は中学校の講師や大学の助手・演奏員として働きながら、オペラやコンサート、ミュージカル等に出演。学生時代は餃子の王将でアルバイトをしていた。好きなメニューは木須肉(肉と卵のいりつけ)。寒がり。ソフトクリームが大好き。

高田瑞希バストアップ写真

京都市出身。京都市立芸術大学大学院修了後、すぐにびわ湖ホール声楽アンサンブルへ入団。B型、末っ子のマイペースで、人によく言われるチャームポイントは細長い首と八の字眉毛。
日本歌曲と宗教曲が特に好き。日々のストレス解消法はお風呂掃除と姪っ子たちとのハグ。誰か一人でも笑顔にすることが毎日の密かな目標!!

大野光星バストアップ写真

東京都世田谷区から来県したシティボーイ。2年間の浪人を経て、東京藝術大学大学院オペラ科修了。幼少期に松井秀喜選手のホームランを目の当たりにしてから、読売巨人軍一筋。現役では松原聖弥選手が推し。いつか巨人戦で、国歌独唱することが夢。野球以外では、革靴やサウナ、ドライブなど多趣味である。

山内由香バストアップ写真

愛知県豊田市出身。名古屋芸術大学大学院修了。修了後は東海地方を中心に演奏活動を行う。4年間のフリーランス活動を経て、びわ湖ホール声楽アンサンブル入団。父は日本人、母はフィリピン人のハーフ。将来はアジアを歩きわたる歌手になりたい。世界で一番かわいい犬を飼っている。

西田昂平バストアップ写真

三重県鈴鹿市出身。東京藝術大学大学院オペラ専攻修了。在学中から鈴鹿市内各所での国歌独唱など、地元と密着した演奏活動に取り組む。大学院修了後、3年の期間を経てびわ湖ホール声楽アンサンブルに入団。座右の銘は「よく食べよく寝てよく学ぶ」。甘いものに目がなく、特に抹茶やあんこのスイーツが大好物。

佐々木真衣バストアップ写真

京都市立芸術大学大学院修了。歌が大好きな家族に囲まれ、美味しいものを沢山食べながら伸び伸びと育つ。小さい頃から歌うことが大好きで、初めて人前で歌った曲は、美空ひばりの“お祭りマンボ”。とにかく食べることが大好きなビッグボイスレディー。

座談会スタート

Encounter音楽との出会い

──まずはお一人ずつ自己紹介を。

福西

テノールの福西仁です。宝塚市出身です。中・高の6年間は吹奏楽部でホルンを吹いていて、高校は結構本番も多くて。

高田

本気で取り組んでる高校ですね。

福西

高2のときに『椿姫』の乾杯の歌を男女一人ずつ歌うことになり僕が歌いました。この時、もっと本格的に勉強したいなと思ったのが声楽を始めるきっかけですね。

──その後、ホルンは?

福西

大学1年のときは名残惜しくて吹いてたんですけど、遊んでたらあかんなと思って、今はクローゼットの奥に片付けました。

──吹奏楽をされていた方はほかにも?

高田

ソプラノの高田瑞希です。私もアルトサックスがクローゼットの奥にあります。出身は京都で、4歳からピアノを始めて、小学校の時にドラムを習って、和太鼓も叩いたり。

大野

幅広いですね。

高田

小5から5年間は合唱団に在籍、吹奏楽部もやっていて、高校でこれからどうしようと思っていたら、家の裏に声楽の教室があったんです。

福西

運命!

高田

そこに通ってみたら、「音大行けるよ」「じゃあ行きます」ってなって、ここまで来れちゃいました。

山内

順調な人生ですね。

高田

運と縁に恵まれて来ました。

トーク写真

──次に大野さんお願いします。

大野

大きな野原に光る星、バスの大野光星です。

福西

名前だけでも覚えて帰ってください。

大野

幼稚園からピアノを習っていて、もともとピアニストになりたかったんです。

一同

へ~!

大野

小6でピアニストを挫折して。中学校の音楽の先生から歌を勧められて、週1で歌を始めたことが、この世界に入るきっかけです。

佐々木

先生のおかげだね~。

大野

勉強より音楽を極めようかなと音楽の高校に進み、東京藝大に。苦労して大学院に入ったときはやっぱり音楽が好きなんだなと思いました。

──次は山内さんお願いします。

山内

愛知県豊田市出身、山内由香です。私は昔からできることがあまりないと思っていて、その中で音楽ならできるじゃん!と思ってがんばりました。音楽の大学、大学院と進んで、その後音楽の先生やピアノ教室もしたけど体調を崩して…。

高田

いろいろあったんだ。

山内

最後のチャンスだ!歌って稼げる仕事はここだ!と思って、1年くらい遊ばないでカンヅメ状態で勉強とか練習して、這いつくばってここまで来ました。

佐々木

初めて知った。

高田

仁君が泣きそう。

福西

そんなドラマがあったんですね…。

トーク写真

──では次に西田さんお願いします。

西田

バスの西田昂平と申します。三重県鈴鹿市出身です。仁君と大野君と同じ、今年で28歳になります。父はホルン、母はクラリネット、姉はピアノ、おじいちゃんはサックス、おばあちゃんは詩吟をやってて。

佐々木

音楽一家だね!

西田

小さい頃はエレクトーン、中学、高校はトランペットをやったんですけど、僕は社会の先生になりたくて…。

山内

社会の先生にいそう!

西田

でも、高校2年で勉強とトランペットに挫折して、落ち込んでたときに父から歌を勧められて、先生からは東京藝大を勧められて、覚悟を決めて受けました。

山内

それで合格したんだから優秀だね。

西田

卒業後は、志望していたドイツの大学に進学できなくて、また挫折。裏方の仕事や、米原の文産会館の職員採用試験を受けて。

一同

え?そうなの。

西田

面接のときに声楽アンサンブルは受けないの?と言われました。それから地元の三重でバッハの合唱団を1年間やって、やっぱり自分は歌が好きやなと思って。声楽アンサンブルをイチかバチか受けて、今に至ります。

──最後に佐々木さんお願いします。

佐々木

奈良県出身、ソプラノの佐々木真衣です。皆さんが音楽に触れていたとき、私は泥だんごを作ってました(笑)。

大野

みんな作ってたよ、泥だんご。

佐々木

高校3年の進路を決める時に音楽が好きやから音楽に進みたい!と思ったのはいいんですけど、何もやってなかったので。

大野

泥だんご作ってただけだもんね。

佐々木

楽器もできないので、進める道が歌しかなくて。高校3年から必死で勉強して、京都市立芸術大学、大学院まで進ませてもらいました。大学の先輩の奥本凱哉さん、藤居知佳子さんがびわ湖ホールで活躍されていて、こんなに素晴らしい劇場で私も歌いたいと思って受けました。

トーク写真
After Joining入団からこれまで

──春からの1か月、いかがでしたか? 入団早々4月22日には定期公演もありました。

高田

全部が初めてやから、全部が怖かった。

大野

本当に毎日歌うんだ!と思ったよね。これがプロかーって。

山内

楽譜こんなに?って。

西田

はい次、はい次、みたいな。

福西

練習でもずっと緊張してたんですけど、(指揮の)田中信昭先生が「君たちは音を出してるんじゃなくて、音楽をしてるんだ」っておっしゃったときに、そうか!と思いました。

大野

大学の公演とは全然違いました。

西田

合唱をほぼ経験してこなかったんで、先輩からアドバイスをもらいながら練習するのはいい経験でしたし難しいことでした。

──信昭先生の言葉で、ほかに印象に残っているものは?

福西

「本番で絶対君たちにやってほしいことがあるんだ」って言われたんで、何やろと思ったら「リラックス!」って。

佐々木

あったあった!

福西

しびれましたね。先生はどれだけ厳しい言葉で指導されたとしても、指揮棒を振り上げるときは必ず笑顔。

大野

厳しいんですけど、本当にうまくいったときは「うまいね~」って。

高田

「何で君たちこんなにうまいのー!」って褒めてくださるんです。うれしかったね。

佐々木

先生に会いたくなってきちゃった。

大野

95歳であれだけできる。最初の公演をレジェンドとともに始めさせてもらいました。

トーク写真

第77回定期公演(2023年4月)

──「びわ湖の春 音楽祭」はいかがでしたか。

山内

声楽アンサンブルのチケットが売り切れていることを3日前に知って、音楽祭ってすごいんだ…とびっくりしました。親の分のチケットを買えませんでした。私、びわ湖ホールへの熱い想いを持ってるはずなんですけど。

高田

山内さんは一番お姉ちゃんやのにいつもこんな感じ(笑)。私は大学生のときも、びわ湖ホールの音楽祭は朝イチから来て、大学に戻って練習して、また夜の公演を聴きに来て。

佐々木

音楽祭を楽しんでたんだね。

高田

だから今年自分が出てるのがうれしくて。「オペラへの招待」も必ず来てたんです。同じ演目でもキャストが違う日に観に来てました。師匠の清水徹太郎先生と一緒に歌いたいって思ってました。

──実は大野さんには声楽アンサンブルの東京公演でお世話になってます。

大野

東京文化会館ですよね! 僕、あの時レセプショニストのマネージャーでしたからね。

山内

えー!そうなの?

──その方が声楽アンサンブルに入団されるとはまさかです。

大野

まさか自分があの後びわ湖ホール声楽アンサンブルを受けて、ここに入るって、想像もしてなかったですもん。

福西

すごい繋がりですね。

──学校巡回公演は、行ってみてどうですか。

佐々木

めっちゃ楽しい!

山内

元気をもらってます。

高田

支援学校に行ったんですけど、全身で子どもたちが楽しいってことを表してくれて、こっちが泣きそうになって。仁君泣いてたよね。

福西

(うなずく)。子どもたちと合唱曲Believeを歌うんですけど、泣いてしまいました。

高田

鼻水出るぐらい号泣してた。

福西

子どもたちはすごく正直な反応をするので、ほんまに音楽的にいいものを聴いてもらいたいと思います。

トーク写真

学校巡回公演(2023年5月)

After Thisこれからの1年

──この1年間で楽しみなことは?

大野

僕、東京生まれ東京育ちなんですけど、来年3月の東京公演で自分の働いていた東京文化会館にびわ湖ホールのメンバーとして戻れるのが楽しみです。

西田

あー、そうか!

大野

元職場に演奏する側で立てるのが感慨深いですね。

福西

それはうれしいな。

大野

東京文化って、地下の楽屋エリアに名だたる人たちのサインが壁一面にあって、そこに名を刻んでやりたいと思っています。

西田

僕は10月の『フィガロの結婚』が楽しみです。大学院の修士で論文を書いたので思い入れがあって。

山内

私も『フィガロの結婚』ですね。ケルビーノ役をやらせてもらいます。20代の間にケルビーノ役をするという夢が叶いました。もうびわ湖ホールに入れるだけでよかったんですけど、一番やりたかった役をびわ湖でやらせてもらえるの~!!って。全身全霊で取り組みます。

福西

僕は、入って1か月ちょっとで、声も精神的な面も成長してると実感していて、この短期間でこれだけ変わったということは1年経ったらどうなれるんやろと思っています。

佐々木

私は8月の「美しい日本の歌」の公演で、懐かしいJポップの歌とか唱歌を合唱で歌うのが楽しみです。親が聴いていて、小さいころから知っている曲ばかり。

高田

私は全部の公演が楽しみです。同期もいい感じで、先輩方も優しいし、すごくいいメンバーだけど、このメンバーで歌えるのはこの1年だけだから。

大野

そうだね。

高田

全部の活動を大切にしたいですし、みんなでびわ湖ホールの顔になれるようがんばりたいです。

佐々木

なろう、なろう!

福西

そのためにも緊張せずに「リラックス!」ですね。

トーク写真

これからも、さらなる精神面と技術の向上を目指し、
ひとつひとつの公演を大切にメンバーで駆け抜けます!