びわ湖ホール声楽アンサンブルメンバーのクロストーク

厳しいオーディションで選ばれた彼らがオーディション秘話や
舞台裏のお話を余すところなく語ります。
(取材時点:2021年夏)

話を聞いたメンバーたち

熊谷綾乃バストアップ写真
熊谷 綾乃(ソプラノ)

同志社女子大学音楽学科卒業。京都市立芸術大学大学院修了。大学院修了後、奨励生として関西二期会オペラ研修所で更に研鑽を積む。4年間のフリーランス活動を経てびわ湖ホール声楽アンサンブル入団。フリーランス期間は、大学教授秘書として生計を立てる。趣味は、株式投資と西洋占星術。来世は、魔女になりたい。

山岸裕梨バストアップ写真
山岸 裕梨(ソプラノ)

愛知県名古屋市出身。東京藝術大学大学院修了後、アンサンブルメンバーに。現在在団1年目。
学生時代には社交ダンスを習う。冷蔵庫に入っている味噌は、もちろん赤味噌。目下の目標は、ネイティブな関西弁が話せて、歌って踊れる名古屋嬢になること。

宮城朝陽バストアップ写真
宮城 朝陽(テノール)

ギターや三線が弾ける沖縄出身のテノール。沖縄県立芸術大学大学院卒業、在学中にドイツへ短期の留学をする。大学院卒業後すぐにアンサンブルメンバーに。現在在団3年目。
美味しいコーヒーを飲むことがちょっとした趣味。好きな作曲家はシューマン。

平欣史バストアップ写真
平 欣史(バス)

大阪芸術大学大学院前期課程修了。現在びわ湖ホール声楽アンサンブル在団2年目。高校生の時から約12年間ラーメン屋で働いた経歴を持つ。
ラーメン好きはさる事ながら、麺類全般をこよなく愛する。最近のマイブームはお笑い番組を見ること。

入る前と入った後の印象の違いは?

トーク写真01
熊谷

入団する前に、アンサンブルのメンバーが受講する様子を見られるワークショップを聴講しに行ったことがあったんですが、とっても皆さんの動きが上手で、めちゃくちゃ憧れてました。さらにオペラができて、音楽を仕事にできるなんて、と思ってここを受けたんです。
実際入ってみると、仕事の幅も広いし、取り扱う音楽も幅広いから日々勉強。しかも、「びわ湖ホール」の名前を背負ってる以上、質が高く、ミスのない音楽をしなきゃ、と責任を感じます。

僕も先輩がアンサンブルに入っていたので、いろいろと活動については想像していました。実際入ってみると、とにかくレベルが高くてついていくのに必死で・・・。
しかもびわ湖ホールに来られるお客さんの方が、オペラや合唱曲に詳しいことが多い!そんな方たちが聴いてくださると思うと、背筋がものすごく伸びる思いでした(笑)
あとは、個性を出しながら声を溶け込ませていくっていうのが難しくて、1年目は特に悩んだところです。

熊谷

たしかに。ソリストとしての技量も、合唱の技量も求められるって実はかなり難しいんだよね。

トーク写真
山岸

私実は、ソロ科っていうところにいたので、オペラとか合唱とか人と一緒にやることがなかったんです。だから「あなたが主役!あなたについていくから!」っていう環境しか知らなくて、他の人にあわせたりするのが大変で大変で・・・(笑)
ちょっと話がずれるんですが、入る前に東京で「音楽で食っていけるのはびわ湖ホールだけだぞ!」っていうことを聞いて断然このアンサンブルに興味が湧きました。

熊谷

本当に音楽だけで食べていくのって難しいけど、アンサンブルはそれが叶うんだよね。

山岸

お金の話はタブー視されやすいんですけど、きっちり練習して、それを還元できるようにしていきたいと思っています。

熊谷

沖縄ではびわ湖ホールについての話題とか噂はあった?

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宮城

残念ながら、沖縄では正直そんなに有名じゃなくて・・・
びわ湖ホールのことは、あるコンクールに出た時に声楽アンサンブル出身の人がすごくいい声で、それをきっかけに知ったっていう感じですね。
で、アンサンブルの要綱を見たら、音楽の勉強ができるだけじゃなくて、給与面とか、保障とかもしっかりしてるから「これだったら生活できるな」と思って。

たしかに保障がしっかりしてる。
僕が入ったのがまさにコロナ禍になったばっかりだったけど、ちゃんと演奏会もありました。

山岸

東京だと続々と演奏会が無くなってる時でしたね・・・。
そんな中でもびわ湖ホールは継続して演奏会を行ってるイメージだったので、安心してオーディションを受けることを決めました。

オーディションの歌唱審査曲、どうやって決めた?

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僕は曲調に変化を付けることを意識したかな。
自分の声の魅力をわかってもらえるように、自分に合ったものを選ぶようにしました。

熊谷

私はお芝居が好きだったから、演技やセリフでもアピールできるようにしたかな~。

山岸

とにかくダサいことをしたくない!センス良く選ぶ!と思って決めました。1曲目に1幕に出てくるアリア、3曲目に終幕のもの、みたいにメリハリをつけた感じです。

トーク写真
宮城

当時そんなに手札がなかったから、手持ちの曲で勝負しました。
あと大ホールが広くてめちゃくちゃビビった(笑)

山岸

たしかに!
でも、広くて恐い気持ちも少しはあったけど、コロナ禍だったから「久しぶりに人前で歌えて嬉しい!」っていう気持ちの方が強かったかも。

宮城

初めて大ホールで歌った時は新鮮で感動して、っていう感じだったけど、今はもうホームグラウンドの感覚です。
大ホールでたくさん歌う機会があるから、他のホールでオーディション受けるときに「あ、こんなもんの広さか」って気持ちに余裕が出たりしますね。

今だから話せるオーディション当日の失敗談は?

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山岸

後ろにリボンがある服装を選んでしまって大変な目にあいました(笑)
ひとりで全然結べなくて・・・。

熊谷

服装って言えば、私も面接があることをすっかり忘れてて、面接用の服装も持ってないし、完全に私服もカジュアルな感じで・・・(笑)

みんな

わかる!!歌うことに必死になっちゃって面接の事が抜けがち!

熊谷

慌てて当時西武百貨店に行ってワンピースを買いました。その時の結果は・・・。

特に男性はスーツで来ておくと安心かもね。

未来のメンバーへメッセージ

トーク写真

いろいろなバックグラウンドを持ったメンバーと一緒に過ごすことは、良い刺激になると思います。大変なこともあるけど、引き出しも増えると思います。頑張って!

宮城

パワフルな人が多い関西圏で揉まれることで、精神的に強くなれます(笑)

山岸

周囲のレベルが高い中にいられることはありがたいし、うれしいですね。自分の「悪いところ」も再認識できるから、成長できる環境が整ってます。

宮城

確かに。世界の第一線で活動している歌手、指揮者、奏者のみなさんと共演できるから、発声とか立ち居振る舞いを学べるのは大きい。

チャンスも貰える。宮崎国際音楽祭に出られたのも、ここに入ったからかな。身近に高レベルなものを体験できるけど、逆に自分の強みがわかるのもいいことですね。

熊谷

口笛うまいもんね!

トーク写真
山岸

トークとか取材とか、歌以外にもいろいろやらせて貰える分、求められる事も幅広いからマルチになれる。

熊谷

たしかに、歌以外のスキルも上がる。
それと、雇用期限があるから今後どうするか常に考えさせられますね。実力を高めるためにどうするか、考えて行動できるのはいいところ。

宮城

ここを出てもやっていける歌手になるために、歌も、その他のスキルも勉強、勉強ですね。
苦しい事があっても・・それも勉強かなと思ってる。

熊谷

今タンゴも苦労してるもんね(笑)
※対談時、絶賛オペラへの招待『つばめ』の稽古中

宮城

ダンサーじゃないのに、とは思うけど(笑)
これもいい経験です。

トーク写真

新しいメンバーに会えることを楽しみにしています!