ジャーナル
2026年4月23日

声種もキャラクターも異なる「びわ湖ホール四大テノール」

2010年当時、びわ湖ホール声楽アンサンブルのテノールパートに所属していた清水徹太郎、竹内直紀、二塚直紀、山本康寛の4人で結成されたユニット「びわ湖ホール四大テノール」は、当時の音楽祭「ラ・フォル・ジュルネびわ湖2010」のメインロビー公演でデビューを飾った。オペラ歌手ならではのハイレベルな歌唱と、関西ならではのユーモアのセンスを融合させた親しみやすいステージは瞬く間に人気を博し、「テノールの明るい響きで、日本を元気に!」を合言葉に、びわ湖ホールはもとより、全国各地で公演を行ってきた。

コンサートの進行はほぼ決まっている。挨拶代わりの『琵琶湖周航の歌』から始まり、オペラのアリアなどを挟み、「テノールdeコント」では大量の小道具とともにカツラや衣裳をつけて出し惜しみ無しのコントをこれでもかと披露。打って変わって燕尾服姿で、高音域のカンツォーネを見事に歌唱。テノールといっても声種もキャラクターも違うタイプの異なった4人が、よくぞ偶然に集まったものだと、彼らのステージを見ていていつも感心させられる。集まるべくして集まった4人。アンコールも第三部と数えられる彼らのコンサートは、ラストナンバーに向かってどんどん熱を帯び、盛り上がって行く。笑いと格好良さが同居するカタチの彼らのステージだが、ここまでのレベルに仕上げるには人知れず苦労も多かったはずだ。

笑いの陰には涙もあった。2020年4月、メンバーの二塚直紀が心筋梗塞のため急逝。周囲の心配をよそに、5人目のメンバーに二塚の一番弟子 古屋彰久を迎え、一層パワーアップし、再び走り出したのだ。2025年3月にはメンバーの清水徹太郎が脳出血で倒れたが、不屈のリハビリの甲斐あって奇跡的に回復。今年1月の「びわ湖ホール四大テノール 2Days!(再び)」で見事に復帰を果たし、会場からは万雷の拍手が起こった。テノールの明るい響きは自分たちをも奮い立たせ、観る者に感動を与え続けていく! 笑って泣いて感動して…。「びわ湖ホール四大テノール」の公演は楽しみが尽きない。

今回の「びわ湖の春 音楽祭」で「四大テノール」は、25日メインロビーでの無料の開会宣言(9:30~)と26日中ホール公演(16:30~)に出演が決まっている。ピアノはいつもお馴染みの作曲家 植松さやか。このユニットにおける彼女の存在は大きく、メンバーに寄り添うピアノ演奏だけでなく、オーケストラを思わせるような大掛かりな編曲も担当し、実質的に「四大テノール」のメンバーの一人なのだ。

「四大テノール」が誕生したびわ湖ホールはこの夏、大規模改修にともなう長期休館(今年7月~2028年2月)に入るので、「びわ湖の春 音楽祭」は彼らの勇姿を今のホールで見ることが出来るラストチャンス。これは会場に足を運ぶしかないのではないか。

磯島浩彰(音楽ライター)

《公演情報》

開会宣言

26-M-3 びわ湖ホール四大テノール・植松さやか(ピアノ)

ロビーコンサート オープニングアクト「テノールだよ、全員集合!」